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zoom RSS 乳酸の謎…

<<   作成日時 : 2011/03/03 22:48   >>

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生駒山さんから、解糖と酸化機構に関する質問を頂きました。

乳酸…謎ですよね(笑)。

そこで、この疑問に答えたいと思います。

まず、筋収縮のエネルギー源である、アデノシン三リン酸(以下、ATP)の生成過程は、解糖系と酸化機構の二つの経路があります。

厳密には、この二つに加えて、ATP-PCr系の仕組みもあるのですが、話が複雑になってしまいますので、ここでは、代表的な二つの経路についてお話しします。

まず、解糖ですが、これは、いわゆる「無酸素性」といわれる仕組みです。

酸素を介さず、筋に蓄えられているグリコーゲンから、ATPを生成する仕組みです。

急激に大きな力を必要とする際に、優位に働きます。

筋グリコーゲンは、速筋に多く蓄えられています。

この速筋は、急激に働く際、後先を考えずにどんどんATPを生成しようとします。

ここまでの経路では、ATP生成に酸素を必要としていません。

それが、無酸素回路といわれる所以で、決して、無呼吸で運動するとう意味ではないんです。

グリコーゲンは、一旦、ピルビン酸になるのですが、ここで、あまりにも要求が急激であると、生成が間に合わず、それがATPにならず、乳酸になってしまいます。

仮に、生成の要求が急激でなければ、ピルビン酸はミトコンドリアからTCA回路に入り、有酸素経路によって水と二酸化炭素に分解される過程で、ATPを生成することができます。

一方、中性脂肪は、脂肪酸とグリセロールに分解され、この脂肪酸はミトコンドリアを介し、TCA回路を経て、ATPへと生成されます。

これを脂質代謝といいますが、こちらは完全に有酸素回路ですので、乳酸になることはありません。

ミトコンドリアは、遅筋繊維に多く存在します。

ミトコンドリアの色素が赤いことから、遅筋繊維は「赤い筋」…、赤筋とも言われます。

対する速筋繊維には、ミトコンドリアが少ないため、「白い筋」…、白筋とも呼ばれるのです。

乳酸は、運動強度が落ちれば、再びピルビン酸に戻り、遅筋繊維に取り込まれて、ミトコンドリアを介し、ATP生成の原材料として使われます。

速筋に蓄積されているグリコーゲンは、直接、血液中に還元することはできませんが、乳酸に替えることで、遅筋で再利用することができるのです。

解糖と酸化機構は、どちらか一方ということではなく、常にハイブリッドに働いています。

運動強度によって、配分が変わってくると理解してください。

また、速筋繊維と遅筋繊維も、一つの筋に混在しています。

例えば、大きな筋の代表である大腿四頭筋も、決して、速筋繊維だけで構成されるものではありません。

大腿四頭筋は、速筋繊維と遅筋繊維と、場合によっては、その中間筋であるピンク筋とで構成されているのです。

乳酸濃度が上がれば、体は動かなくなってしまいますが、これは、疲労…というよりも、「ATP生成が間に合わない」状態なんですね。

生成が間に合わなければ、動けません(笑)。

脂質代謝や、糖の酸化は、沢山のATPを作れるのですが、いかんせ、のんびりとした生成なんです。

人の体は、本当によくできていると思います。



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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
ちょっと理解できてきました。しかし、訓練していると回数が増えるのはなぜなのか。例えば、腕立て伏せでも最初は数回しかできないのが毎日やっていると150回はちょろくなる。
ATPの生成が間に合うのか。うーん。
しかし、ウォーキングもこの頃は、2時間やってもへたらないぞ。使う筋肉は違っても訓練しているともちが違う。なんか分からん。
いゃー、奥が深いなあ。糖尿病になってよかった。
生駒山
2011/03/04 00:02
もう一つ。ウォーキングの場合は、乳酸は最初から使ってないのですか?グリコーゲンは温存されるのですか?
生駒山
2011/03/04 00:06
生駒山さん、おはようございます。

トレーニングを重ねると、筋は太く、且つ強くなります。

また、脳から筋を動かす指令パイプの「神経ニューロン」も、効率的に指令を出すようになり、筋もその指令に正確に応えられるようになります。

その結果、運動パフォーマンスが上がるんです。

どこから乳酸に変わっていくかを、乳酸性作業閾値といいますが、これも、トレーニング次第で向上していきます。

運動経験のない人が、すぐに動けなくなってしまうのは、この乳酸性作業閾値が低いことも関係していると思います。

ウォーキングの場合は、歩き始めの時は、若干が乳酸に移行するかも知れませんが、概ね、酸化機構で完全に使い切る方向だと思います。

軌道に乗ってくれば、脂質代謝で脂肪酸を使った酸化機構が優位になるでしょう。

しかし、長時間…例えば、3時間・4時間と歩き続ければ、乳酸濃度は、やはり上がってくると思いますね。

ウォーキングにも、限界はあります(笑)。

奥が深いです(笑)。

sho
2011/03/04 08:02
ウォーキングでも長時間続けると、乳酸が出てくるのか。脂肪酸を燃焼する回路も疲れてくると。しかし、なんで乳酸が出てくるのかいな。こっちは、遅筋繊維を使っているから乳酸が出るのかなあ。あー、奥が深い。
生駒山
2011/03/04 10:56
生駒山さん、こんばんは。

筋グリコーゲンからのATP生成は、例えウォーキングであっても、使われています。

無酸素性回路では、どんどんATPを作ろうとしますので、運動の継続時間と共に、乳酸濃度は上がってくるんです。

速筋と遅筋…、これもまた、ハイブリッドに機能してるんですよ。

sho
2011/03/04 20:37
はじめまして。糖質が利用されると乳酸が発生し、脂肪が利用されるとケトン体が発生します、乳酸もケトン体も重要なエネルギー源です。糖尿病の方こそはどんどん糖質を利用し乳酸を生成すべきです、つまり速筋を大いに使うべきです、だらだらした有酸素運動に力を入れるより、速筋を働かせることにもっと主眼をおくべきです。糖質と乳酸/脂肪とケトン体でペアです、糖尿病の方は糖質をガンガン消費するように努力工夫して下さい。shoさん糖質をガンガン消費する運動をUPして下さい。
能登の管理栄養士。
2011/03/05 21:43
能登の管理栄養士さん、コメントありがとうございます。

仰る通りですね!

糖質をガンガン消費する運動こそ、レジスタンス運動(筋トレ)です。

糖尿病にはウォーキングという「定説」とは違いますよね。

中長期的な目的のレジスタンス運動と、食後血糖を下げるための有酸素運動の組み合わせ(クロストレーニング)こそ、実は、運動療法の決め手です。

栄養素のことでは、私も、色々と疑問に思っていることもあります。

近々、ブログアップしますので、是非また、ご意見頂戴したいと思います。

今後とも、宜しくお願いいたします。
sho
2011/03/05 23:41
レジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせが大事とのこと。まったく同感なんです。しかし、高齢の糖尿病患者の方は、なかなかレジスタンス運動はしんどいのですね。
私の部下のお父様は82歳。AICは8.1なんです。運動の話になると結局散歩なんですね。これでもやらないよりましと言うことになる。そうするとご飯を減らしてに行き着くのですが、これも大変。楽しみを奪うなということになり親子げんかになる。糖尿病の治療は難しいのですわ。
生駒山
2011/03/06 18:42
生駒山さん、こんばんは。

例え82歳の方であっても、可能なレジスタンス運動のメニューと方法があります。

本当に歩けなくなってからでは遅いんです。

大切なことは、やはり、「気力」…だと思います。

年齢は関係ありません。

自分を変えようと決意しれば、自分は変わります。

80歳を超えた男性であれば、「楽しみ」ながら、生活の質を上げていく努力が必要です。

それも、これも、まわりのサポートですよね。

PPKのお手本を示して欲しいな…。

sho
2011/03/06 20:12
82歳の方でもできるレジスタンス運動の参考文献があれば教えてください。部下に紹介します。それにしても部下のお父様。毎日山盛りの薬を飲んでいるそうです。カロリー制限式のやり方の限界ですねえ。
生駒山
2011/03/06 21:39
生駒山さん、おはようございます。

残念ながら、高齢者に特化したレジスタンス運動の本は無いと思います。

もう少し幅を広げて、シニアということでは、幾つかの文献がありますが、内容は運動指導者向けのもので、一般的ではありません。

まずは、「かんたん体操」の椅子から立ち上がるスクワットができるかどうか…ですね。

椅子の高さが低いほど、強度が上がります。

これも無理であれば、椅子に座ったまま、片足づつ前にまっすぐ伸ばす(エクステンション)運動、10〜15回を1〜3セット。

うつ伏せになって、太ももの裏に座布団などを置き、ひざを曲げて座布団を挟み込む(カール)運動を、10〜15回、1〜3セット、やってみましょう。

時間にすれば、僅か10分足らずでできます。

頻度は、毎日でも構いません(筋肉痛が無い限り)。

どなたかが付き合って、一緒に運動していただければ…と思います。
sho
2011/03/07 06:54
ありがとうございます。私は、スワットは4セットはするようにしております。1セット50回やっており、最後に100回。慣れるとできるものです。
生駒山
2011/03/07 09:11

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