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zoom RSS 糖質と運動、その効果について…≪前編≫

<<   作成日時 : 2009/05/26 11:58   >>

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昨日、チョイマルオヤジさんのコメントから、いたく興味深い「お題」を頂きました。

≪糖質0でアネロビック運動できるんでしょうか?糖尿発覚時、「脳のエネルギー源は糖質のみ」と僕が思い込んでいたように「速筋のエネルギー源は糖質」というのが僕の間違いで、速筋もエアロビックシステムだけでより高いパフォーマンスを求められるものなのでしょうか?≫

アネロビック運動とは、筋トレなどの、いわゆる無酸素系の運動、エアロビック運動とは、ジョキングなどの、いわゆる有酸素運動のことです。

まず、質問の主旨を、分かり易く整理してみました。

1.常日頃、糖質を全く摂らずに筋トレなどのレジスタンストレーニングが可能なのか?
2.有酸素運動と酸化機構の作用だけで、速筋を効果的に鍛えることは可能なのか?

この二点だと思います。

そこで、お答えも次のように項目別に分け、できるだけどなたにでも分かり易くしたいと思います。

1.すべての運動は、有酸素運動といっても良い。
2.筋収縮のエネルギー源は、主にグリコーゲンと中性脂肪。
3.速筋と遅筋。
4.運動に応じたトレーニングが必要。
5.結論。

前編は1から3、後編を4から5と、2回に分けて書きます。

≪前編≫

質問には、アネロビックとエアロビックというように、無酸素運動と有酸素運動を区別していましたが、厳密にいうと、すべての運動が有酸素運動ということになります。

これは、「運動中も呼吸をしているから。心臓が動いているから」という、言い訳のような理由からではありません。

まず、最も手っ取り早くATPを得ることができるATP-PCrのエネルギーシステムは、酸素を介さずにATP産出が可能なことから、無酸素系エネルギーシステムに分類されています。

しかし、基となるクレアチンリン酸は、産出されたATPからクレアチンをリン酸移して保管されているものです。
元々のATPは、ミトコンドリアの有酸素的働きから得ていますので、その意味では、有酸素運動の貯金とみることができます。

次に、解糖システムですが、この場合、グリコーゲンが分解される過程は、実は、無酸素系の回路と有酸素系の回路の二通りに別れます。

運動強度が高い場合は、ミトコンドリアの酸化可能量を超えて、糖は大量に分解される無酸素系経路に入ります。
この場合、速筋がより多くの糖を分解します。

行き場を失った糖は、乳酸となります。

乳酸が一定以上多くなると、筋の働きが落ちてしまいます。
これを、乳酸性作業閾値(LT)といいます。

しかし、運動強度が落ちると、乳酸はたちまちピルビン酸に戻り、ここからは、ミトコンドリアを介した酸化機構に入ります。

従って、無酸素性の解糖システムであっても、最終的には、乳酸が酸化機構に入っていくことから、これもある意味、有酸素運動といえるのです。

もとより、脂肪を使うエネルギーシステムは、酸化機構ですから、運動強度の弱い場合の解糖システム同様、ミトコンドリアを介した有酸素運動です。

このように、すべての運動は有酸素性の運動になります。

さて、それでは、運動のエネルギーの源は何なのでしょう…。
運動の源は、ATP(アデノシン三リン酸)なのですが、そのATPの元ということです。

先のATP-PCr系のエネルギーシステムは、ほとんどズバリのATPの貯金です。
ズバリですので、その必要がある場合は、速やかにATPを筋に提供することが出来ます。

次に、筋にはグリコーゲンと中性脂肪がエネルギー源として蓄えられています。
運動強度が強い場合は、グリコーゲンが優位に、弱い場合は中性脂肪が優位に使われます。

筋グリコーゲンは、解糖されることでATPとなりますが、ATP-PCrのシステムに次いで、素早くATPを生成することができます。

同じ解糖でも、酸化機構に入ったものは、生成スピードが落ちる代わりに、量的には多くのATPを生成します。

また、体脂肪という膨大なエネルギー源があります。
脂肪も、酸化機構で分解され、大量のATPを生成します。

運動エネルギーの源は、糖質や脂質の摂取にかかわらず、グリコーゲンと脂肪です。
アミノ酸もエネルギー源になりえますが、比率からすると5%程度ですので、トップアスリート以外は、無視して構わないと思います。

では、そのグリコーゲンと脂肪は、どこから、どのようにもたらされるのか…これが結論へのヒントになります。

エネルギーシステムが、このようにハイブリッドな仕組になっているのは、運動量や強度に応じて効率的に対応するためなのです。

一つの仕組が単独で機能するのではなく、状況に応じて、すべてが機能していると考えた方がいいでしょう。
それぞれの仕組は、ATP生成の量と、生成の時間に違いがあります。

酸化機構では追いつかない場合は、解糖システムが機能し、それでも追いつかない場合は、ATP-PCr系が機能する。

いきなり動かなければならないような時は、まずATP-PCr系が働き、その後、酸化機構と解糖が作動比率を調整しながら機能する。

ATP-PCr系は、たちまちその貯蓄分を失いますが、運動強度が落ち、余剰のATPが発生すれば、また一定の量が蓄えられるのです。

筋グリコーゲンも、運動中、たえず補給を受けています。

このように、エネルギーシステムは単独で機能するものではなく、可動比率の差こそあれ、すべての機能が何らかの形で機能し続けています。

非常に複雑で、綾のように細かく折り重なって存在しているのです。

これもまた、結論へのヒントとなります。

また、筋には速筋と遅筋があります。
厳密には、その中間の筋もあり、3種に分類されているのですが、分かり易く速筋と遅筋と覚えてください。

それぞれ、特徴を述べます。

速筋は、素早く大きな力を発揮する筋です。
グリコーゲンの貯蔵が多く、乳酸の生成が多い筋です。

人の筋の衰え(サルコペニア)は、主としてこの速筋から始まります。

遅筋は、持久力のある筋です。
ミトコンドリアが多く存在し、ミトコンドリアの色彩である赤が多いことから、赤く見える筋で赤筋とも呼ばれます。

それに反して、速筋は、ミトコンドリアが少ないため、白く見えるので白筋とも呼ばれます。

その中間の筋は、冗談のようですが、真面目にピンク筋といいます(笑)。

速筋は、持久的トレーニングによって遅筋的に鍛えることができますが、その逆は容易ではないようです。

速筋の多少は、体質によることが多いので、速筋が必要な、即ち、一気に大きな力が必要な短距離の選手などは、生まれつきの素質が大きくものをいい、一方、持久力が必要な長距離の選手は遅筋を主に使いますが、すべての筋は後天的にトレーニングで持久力を鍛えることが可能といわれています。

速筋、遅筋、それぞれをどのような目的で鍛えるのか…。
これもまた、結論へのヒントとなります。

≪後編に続く≫















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内 容 ニックネーム/日時
shoさん、すばらしい前編をありがとうございます♪後ほど、更に熟読させていただきます。
「アネロビック筋がエアロビックシステムに依存している」と聞いても、今ひとつわからなかったのですが、そういった理由で全ての運動が有酸素性の運動であるといわれると、理解できますね!なるほどです!

糖が大量に分解される無酸素系経路に入り、速筋がより多くの糖を分解するというあたりが血糖値を乱高下させ、運動が血管や神経回路にダメージを及ぼすことがある?なんてことも気になり始めました(笑)ですが、その辺は「4」を参考にさせていただきます。

考えはじめると、筋肉だけでなく、循環器系、骨格系、神経系、内分泌系、消化器系などを含むすべてのシステムの調和を目指すという終わりなき旅になりそうな予感です!

後編を読ませていただくまでに
基となるクレアチンリン酸、
ATP-PCrのエネルギーシステム等について
勉強してみます!

ありがとうございます!
チョイマルオヤジ
2009/05/26 13:55
チョイマルオヤジさん、こんにちは。

仰る通り、「調和と好循環」がKEYとなります!

速筋が多くの糖を分解しても、血管や神経系へダメージを与えることはないと思いますよ(笑)。

乳酸性作業閾値(LT)は、ある意味、実に的確に限界を我々に突きつけ、グリコーゲンの残量に関わらず、運動を休止させてくれます。

だからといって、乳酸は単なる老廃物ではなく、最終的には遅筋のミトコンドリアに運ばれ、エネルギー源となる貴重な物質です。

全く、人の体の仕組は良くできていると感心しますね。

後編も、頑張って書きますので、お楽しみに…。

sho
2009/05/26 16:24

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