無くて七クセ

人の脳と体の動きのメカニズムは、本当に精密です。

我々が当たり前に行っている…、例えば、ハサミを使って何かを切るという動作も、実に精密な脳の働きと、神経経路の情報流通があるんです。

片麻痺の生活期リハビリを希望する利用者さんも増えてきましたが…、発病から相当年月が経っている方も多く、どこまで回復できるのか…と、考えることもしばしばです。

発病から6年、左手指と手首の痙縮が大変に強い方がいらっしゃいますが、丹念にストレッチすることで、確かに、「緩みます」。

この方は、いつも、入浴後、看護師さんに麻痺側の手に手袋をはめてもらうことを習慣にしているのですが、ストレッチの後は、「ビックリするほど、手袋がはめやすい」と、看護師さんも仰っています。

しかし、この手指を動かすことは…できません。

順番としては、近位からですが、肩の随意性も低く、週に1回のリハビリトレーニングで、麻痺側の左上肢随意性を上げることには、限界がありますね。

また、歩行も、代償(共同)運動が「クセ」になってしまい、改善を妨げています。

これもまた、脳と神経経路の働きのなせる業です。

小脳は、反復によって目標とした運動ができる内部モデルをつくり、運動を効率化します。

これが、「クセ」の正体です。

「クセ」は、体の使い方の、その方だけの内部モデルなんですね。

これをリセットするのは、至難の業です。

トレーニング中は改善が認められても、次回はまた元にもどってしまいます。

それでも、少しずつ改善していく方もいますので、ポジティブに考えなければいけませんね。

「クセ」は、スポーツにも言えることです。

変な「クセ」がついてしまった選手より、ド素人の方が指導しやすいんです(笑)。

「クセ」を修正するための反復は、新たな内部モデルの構築の10倍の反復を必要とするとも言われます。

昨年の8月から、歩行の改善がしたいという要望でデイに通い始めた方(70代・女性)がいます。

この方も、脳出血の後遺症があり、麻痺側は典型的な共同運動が出現してしまいます。
(共同運動とは、脳卒中などの後遺症から、脳に障害を受けた場合に起こる、関節や筋の反応で、動作によって意図しない関節や筋の動きをいいます)

麻痺側の脚が上がりにくいため、その代償として上半身を前傾させて足を降り出す動作や、その結果として、杖を前方外側に大きく降り出す歩行になっていました。

この歩行では、バランスも悪く、杖を持つ腕の疲労も大きいでしょう。

あれから約8ヶ月経ちますが、歩行は劇的に改善できたと思っています。

ところが、お帰りの際の歩行を観察すると…、8ヶ月前と大差ない…(涙)。

足の振り出しは良いのですが、杖の位置が問題です。

「意識していればできるようになったんですけど、無意識に歩くと、また元のような歩きになってしまいますね」と…。

「クセ」の修正は容易ではありません。

生活習慣も同様ですね。

生活習慣もまた、脳の内部モデルの形成です。

こちらは、運動や動作の改善よりも容易かも知れませんよ。

脳には、「意志」というハンドルも備わっていますからね(笑)。



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この記事へのコメント

菜の花
2012年03月19日 12:14
牧田先生から伺い、いつも拝見しております。平成18年4月から銀座の牧田クリニックに通っております。ha1cは5.8を超えたことはありません。しかし2月3月とアルブミンが30台で3月から腎臓の投薬が始まりました。血糖値だけに気をとられていたら、手遅れになってしまったかもしれません。高血糖の記憶ですね。
sho
2012年03月19日 20:50
菜の花さん、コメントありがとうございます!

もしかして、クリニックで、お会いしてるんですかね(笑)??

もしも、一般的な内科医であれば、A1cに気をとられて、尿アルブミン検査を怠っていたかも知れません。

そこが、糖尿病の難しさですね。

A1cは大事ですが、それだけでは語れない部分があります。

お互いに、頑張りましょう!


AGE牧田クリニックで、本当に良かったと思います。

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