ジレンマ

ある方が介護認定調査依頼を、取り消しました。

今、調査を受けると、間違いなく介護認定度が低くなってしまうからです。

大腿骨頚部を骨折し、リハビリセンターを退院してから、あちらこちらのデイサービスを転々としましたが、まともなリハビリが受けられずに、ほぼ、車椅子の生活になってしまいましたが、私どもの施設にみえてから、めきめきと改善しています。(自費のお泊り、連泊中です)

自力での立ち上がりも可能ですし、脚も上がります。

徐々に、平行棒の歩行から、歩行器、杖をついての歩行にチャレンジしていこうと、その利用者さんと私、スタッフの「チーム」は考えています。

先日は、娘さんが二人、面会にお出でになりましたが、「こんなに明るい表情のお母さんを見たのは、久しぶり!」と、驚いていました。

この方の心には、再び歩けるという希望の灯がともったのです。

大きな問題は、転倒恐怖感です。

身体的な問題よりも、この精神的な障壁の方が大きいと思います。

これは、少しずつ、自信を取り戻していくしかありません。

今日は、お休みをいただいていますが、昨日、帰り際に「明日は、私はお休みですので、○○さんも、リハビリをお休みして、ゆっくりと休養してください」と申し上げると…、「嫌だけど!…仕方がないから休みます」と、ご機嫌ななめ…(笑)。

今は、リハビリが生きがいなんだそうです。

私も、成果が出て、喜んでいる利用者さんの笑顔を見ると、この仕事をやってよかったと思います。

もう一方、最近お出でになった利用者さんは、リハビリ病院から私どもの施設に直行でお出でになりました。

この方も、連泊中です。

やはり、大腿骨を骨折して人工骨頭の手術を行っています。

股関節の屈曲、内旋、内転が禁忌という医療サマリーや評価を受け取りましたが、どの程度の運動制限なのか、ドクターに確認していただきました。

その結果、術後は順調のようで、可動域の範囲ならば、負荷を加えても良いということです。

このような方のリハビリには、PSRTが持ってこいです。

左右の股関節の可動域と、膝関節も左右の可動域に違いがありますので、慎重に行いました。

すると、PSRTの直後から、「椅子に座るときに痛くない」と仰い、3日後には、杖も歩行器も無しで、すたすたと歩いています。

しかし、この過信が再転倒の要因にもなりかねません。

そこで、「歩くときは、必ず、歩行器を使ってください」と、お願いしました。

改善の結果、かえって見守りが難しくなってしまいましたが、「すごく良くなった」と、一日中、笑顔で過ごされています。

やはり、利用者さんの笑顔には、癒されます。

お二方共に、私どもの有料ホームの待機者です。

いずれ、上の施設にお引越しですが、それまでに、歩けるようになっていただきたいと思います。

自力で歩くことができれば、施設に入居するのではなく、ご家族と同居するという選択肢も、あるいは、あるのかも知れません。

それが、良いのか悪いのかは分かりませんが、選択肢が増えることは悪くはないと思います。

介護度が下がれば、ご本人や家族は嬉しいと思うに違いありません。

ところが、受けられるサービスが限定されたり、経済的な負担が大きくなったりてしまいます。

また、介護施設の収入も減ることから、「ナンチャッテ」型の機能訓練を行う経営者もいるのだろうと思います。

4月から介護保険が改訂されますが、個別機能訓練加算を取るには、OT、PTの常駐が必要のようです。

従来の個別機能訓練加算は、従前のサービスに含まれるということです。

私どもの施設では、改訂された個別機能訓練加算を取らずに、このまま行くようになりそうです。

コストパフォーマンスを考えた、経営者の判断です。

加算を取るべく体制を作ったとしても、医療機関がバックにあるデイケアとの差別化が難しくなってしまいます。

さらに、機能訓練に特化した小規模のデイサービスは、どうするのでしょう?

我々のような中規模の施設でさえ躊躇しているのですから、おそらく、コストパフォーマンスから言って、加算は取れないだろうと思います。

そうなると、「実績」しかありませんよね。

今度の改訂は、ある意味、チャンスかも知れません。

デイケアでも老健でもない、デイサービスというポジションで、加算なしで改善の「実績」が評価されれば、それこそ、独自のポジションが築けます。

脳卒中の後遺症のリハビリの方も増えてきましたが、ロコモティブシンドロームの方や、整形外科のリハビリからお越しになる方も、今後は増えてくると思います。

皆さん、リハビリ!リハビリ!です(笑)。

それはそうです…!

対応できる施設や人財は、圧倒的に不足してるんですから!

介護度が下がっても、喜ぶことばかりでなく…。

動けるようになって、余計に心配の種が増えたり…。

売り上げを上げたい経営者と、良い仕事がしたいスタッフと…。

色々と、ジレンマです(笑)。


















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この記事へのコメント

生駒山
2012年02月16日 10:58
昨日、父親の確定申告の還付の申請に奈良県地域センターに行きました。現在89歳。おっしゃるように高齢者の転倒恐怖症は実感しますねえ。ちょっとした坂道でもつまずきます。本人としたらよけいに外に出たくなくなるのでしょうね。来年はおまえが代わりに申請してくれと言われました。それは良いのですが、やはり少しは外に出なくてはと思うのですがね。
今は、家の中で歩いております。本当は安全な施設で運動するのが望ましいのでしょうが、だんだんとおっくうになるようです。高齢者にとってまず大事なのは気持ちなのかもしれません。
sho
2012年02月16日 22:39
生駒山さん、こんばんは。

高齢者では下肢筋力の低下が顕著であり、転倒リスクが増えると、今日も教育テレビでやってました。

しかし、それは一概には言えません。

下肢筋力もありますが、「体幹」の筋力の衰えこそ、転倒の主因だと考えています。

更に、下肢筋力で言えば、ハムストリングです。

発想を転換すれば、家の中でも、十分な転倒予防運動が可能だと考えています。

そして、仰る通り…気持ち(気合い)ですかね…。

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