シニアフィットネス研究所

アクセスカウンタ

zoom RSS 糖尿病の食事療法に関する論議A

<<   作成日時 : 2009/09/20 08:59   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 8

ここで、糖尿病の食事療法に関する問題点を整理しておきたいと思います。

栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質です。
糖質といっても、単糖類である砂糖や、多糖類であるでんぷんなどがありますが、いずれの糖質も、血糖値を上げます。

糖質の種類や食べ合わせなどによって消化吸収される時間に、ある程度の時間差がありますが、1gの糖質が、3mg/dl血糖値を上昇させるといわれています。

この、上昇率には個人差がありますが、糖質を摂っても血糖値が正常の場合、糖尿病とはいいませんので、糖尿人においては、糖質を摂れば必ず血糖値が基準値を越えてしまうことになります。

消化吸収の時間差といえば、GI(グリセミック・インデックス)値があります。
GIの低い食品は、健常人においては、吸収が穏やかになるため、インスリンを節約します。

一方、糖尿人の場合は、そもそもインスリン分泌が少なく、また分泌が遅延しますので、たとえ穏やかな上昇であっても、血糖の上限を抑えることができず、摂取糖質量に応じて血糖値が上がってしまいます。

したがって、血糖値の上限を管理しなければならない糖尿人にとって、GI値は意味をなさいといえます。

インスリン抵抗性があると、糖質を摂ると一旦急激に血糖値が上昇した後、急激に下げることがありますが、この場合、通常必要とされるインスリン量を上回る分泌が起こります。

これは、決して、正常なインスリンの分泌能ではありません。

このような過剰分泌は、いずれβ細胞の疲弊を招き、インスリン分泌量は徐々に減っていきます。

このように、血糖値を上げるのは糖質であるという事実を踏まえて、≪どれ位の糖質摂取が可能か≫、あるいは、≪どれ位糖質を制限しなければならないか≫が、糖尿病管理の食事療法の基本的な考え方となります。

言い換えれば、血糖値の管理が必要である糖尿病の食事療法とは、糖質の管理だということになります。

この二つの考え方に、インスリンの処方、薬の処方、さらに運動療法が加わったものが、糖尿病の管理の全体となります。

糖質の摂取量に関しては、極めて個人差が大きいものですから、指示カロリーを決め、栄養素比55〜60%の糖質摂取を前提とした栄養指導は、糖尿病の食事療法とは言い難いものです。

これは、耐糖能に異常のない、健康な方の一般的なダイエット指導と考えていいのではないでしょうか。

それでは、摂取カロリーをどのように捉えればいいのでしょうか。

それを、出口である消費カロリーから考えてみたいと思います。

代謝エネルギーには、何もしなくても消費される基礎代謝と、運動や活動に要する代謝があります。

意識しなくても、心臓や内臓などはいつでも動いていますが、その場合には不随意筋というものが活動し、体をピクリとでも動かそうとする場合、随意筋の収縮が必要となります。

いずれの筋にも、活動に必要なものは、アデノシン三リン酸(以降、ATPと呼びます)という物質です。

このATPは、以下の三つの仕組から作り出すことができます。

1.ATP-PCr系
2.筋グリコーゲンの解糖システム
3.脂肪細胞(中性脂肪)の酸化機構

その他、アミノ酸からATPを作り出すことも可能ですが、微量ですの省略します。

1.のATP-PCr系のエネルギーシステムは、一気に大きく動く際に、ごく短時間にATPを生み出す仕組ですが、2.と3.は、常にハイブリッドに動いています。

運動の強度によって、その比率が変わってきます。

さて、筋グリコーゲンの源は何でしょうか?
細胞に蓄えられる中性脂肪の源はなんでしょうか?

それは、摂取する糖質です。

糖質は消化・吸収され、ブドウ糖(グルコース、血糖値の大元)として血液中を流通する間に、筋グリコーゲンとして貯蔵され、余剰分については中性脂肪として蓄えられ、ATPの源となるのです。

このように、糖質=エネルギー源だということが分かります。

摂取カロリーというと、タンパク質や脂質も含めて考えてしまいますが、実は、タンパク質と脂質には別の必要性があり、人が活動するエネルギー源になっているのが糖質なのです。

人は、何もしなくても、およそ700kcalを消費するといわれています。
1gの糖質が4kcalですから、最低175gの糖質の補給が必要だという事になります。

このあたりが、糖質摂取の論拠になっていると思われますが、実は、ここに落とし穴があるのです。

我々は、摂取した糖質を、即、エネルギーとして使うことはできません。

上記にように、蓄えられたグリコーゲンや中性脂肪を分解することで、ATPを得ているのです。
つまり、摂取カロリーと消費カロリーの間には、筋グリコーゲンや中性脂肪というダムがあるのです。

運動量が少なく、運動強度も弱いような場合、たっぷりと蓄えている中性脂肪を分解してATPを作り出します。

また、運動強度が上がれば、グリコーゲンを分解する仕組が優位になりますが、競技スポーツのアスリートでもない限り、一気に筋グリコーゲンが枯渇するような運動はできません。

通常は、ATPよりも乳酸ができてしまい、運動が事実上できなくなってしまう(乳酸性作業閾値といいます)のです。

つまり、糖質補給は、急を要しないということ(競技スポーツ等を行っている時を除いて)です。

おまけに、人は糖を糖質以外のものから作り出す仕組を持っています。

仮に、肝グリコーゲンが少なくなり、あるいは枯渇した場合、糖新生といって、肝臓は、アミノ酸、グリセロール、乳酸から、糖を作り出すことができます。

アミノ酸は肝や筋に蓄えられ、グリセロールは脂肪分解の副産物、乳酸は筋の解糖システムの副産物ですから、実に上手くできているものです。

全く、無駄がないんですね。

これは、主に脳の活動を守る仕組です。
脳にブドウ糖を供給する役割を担っているのです。

そればかりでなく、血液中からグルコースを取り込んで、筋グリコーゲンを補給することもできます。

糖質に必須のものがないのは、このように別の物質から作り出すことが可能だからなのです。

≪ここまで、皆さんの考えやコメントをいただきたいと思います≫

≪運動と血糖値の関係については、後ほどまとめます≫

≪Bに続く≫

追記:その後、山内さんが追加記事を書いて下さいました。
「糖尿病の食事療法に関する論議…」のトラックバックリンク先をご覧になるか、下記をご覧ください。
http://ykeiko.at.webry.info/200909/article_10.html









テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
中性脂肪から糖尿病になるシステムは?
中性脂肪は、人間の体に不可欠です。ですが、あまり多すぎると、重大な疾患を引き起こす原因にもなります。中性脂肪の過剰な蓄積で怖いのが、糖尿病を発症する可能性を高める可能性があることです。中性脂肪は肝臓で合成されます。食べ物の摂取で、血中のブドウ糖が増加。すると、膵臓からインシュリンが分泌され、ブドウ糖を分解します。食べ過ぎると、血中のブドウ糖が、過剰に増加します。ブドウ糖を分解するために、インシュリ... ...続きを見る
メタボリックシンドローム予防対策レポート
2009/12/01 19:48

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
早速コメントいただきありがとうございます。
本日は今からオープンキャンパスにこられる親御さんの対応で、それが済むとそのまま東京。

私が授業に取り入れているSATヘルスカウンセリングの学会です。

またゆっくりホテルで読ませていただきますね。
とりあえず
ykeiko
2009/09/20 12:02
shoさん、こんにちは。

知っていたら、教えてほしいのですけれど。

江部先生の本から一部、引用です。

「食べ物が消化・吸収されたあと、脂質は10%弱が血糖に変わります。

では残りの90%はどうなるのでしょうか?

必須脂肪酸は必要な量は身体を構成するために使用されますよね?

それ以外の脂質は血糖を経由せず、ダイレクトに中性脂肪となって細胞に蓄えられるのでしょうか?
KK
2009/09/20 16:27
山内さん、コメントありがとうございます。

後ほど、お時間のある時にゆっくりお読みいただき、ご意見やアドバイスを賜りたいと思います。

宜しくお願いします。
sho
2009/09/20 17:00
モウん、こんにちは。

脂質の10%が血糖に反映されるというのは、グリセロールを素にした糖新生を意味したことだと思います。

糖質と違って、脂質が直接血糖値を上げることはありません。

糖新生は、肝グリコーゲンが枯渇するか、著しく濃度が低下した場合に起こります。

通常、絶食したり、糖質が限りなくゼロに近い食事でなければ、インスリンの分泌にかかわらず、最優先で肝グリコーゲンとして貯蔵されます。
その意味では、脂質単体では血糖値にはほとんど影響が無いといっていいと思います。

必須脂肪酸は、体の調整機能のために使われ、体内で合成できないために食物から摂る必要があります。

このため、「必須」と呼ばれているんです。

脂質は、細胞膜の原材料であるとともに、脂溶性ビタミンの生成を行います。

≪続く≫

sho
2009/09/20 17:14
≪続き≫

脂質は、上記のように体の構成要因(原材料)ですから、ほとんど消費されるのですが、脂質過多がもたらす結果は、諸刃の剣であるといえます。

脂質が小腸から吸収されると、消化管ポリペプチドというホルモンが分泌され、これがリポタンパクリパーゼの活性を高め、血液中の中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解し、細胞が取り込みやすくします。

これは、ある意味、脂質代謝が活発になるという事です。

一方、同じ消化管ポリペプチドは、再度、脂肪細胞に余分な中性脂肪を戻してしまう働きもしてしまうのです。

直接、脂質が中性脂肪に変わる訳ではないのですが、中長期的には、高脂質の食事は肥満の要因になり得ます。

このあたりは、是非、山内さんに解説していただきたいと思います(笑)。
sho
2009/09/20 17:32
Shoさん

ご説明ありがとうございます。

が、100%理解できていません。

人間の体の仕組みって複雑に出来ているので、なかなか理解し切れないです。それ以前に科学で解明し切れていないですが。

糖尿病はこの複雑な仕組みがベースになっている上に、数年〜数十年を経て目立った障害が出てくるわけですから、糖尿病の解明やその対処/治療方法がなかなか進まないのも、うなずけます。

消化・吸収・代謝等々、少しずつ勉強していきます。
KK
2009/09/21 09:03
連続投稿でスイマセン。

この論議に対して、私が常々思っていることを
うまく表現している文章を発見しました。

--- 引用開始
少ない糖質でも大きく血糖上昇をきたす糖尿病者にとっては、これらのリスクが在ることを知っていてもメリットがデメリットを上回ると考えるかも知れません。明確に証明されていないリスクよりも、高血糖による合併症を予防する方が大切であると判断したとしてもおかしくありません。但し、医療の提供者はその辺に対しても慎重にならざるをえないのです。その点の温度差はあって当然だし、逆にその辺の配慮にかけ、患者の機嫌を損ねないよう都合の良いことばかり並べるよりも科学的な態度といえるでしょう。
--- 引用終了

ycatさんが紹介している「どらねこ日誌」からの引用でした。
KK
2009/09/21 09:52
モウん、こんばんは。

なるほど、≪温度差≫ですか…。

こればかりは、どうしようもありませんね。

私としては、兎に角、結果が欲しいですね。

結果を出せないのに、収入を得られる職業…そんなにないですからね。

優れたコーチは、結果をもたらすものです。

それはそれとして…、私も毎日勉強です(笑)。

お互いに、知識を深めていきましょう!

sho
2009/09/21 21:17

コメントする help

ニックネーム
本 文
糖尿病の食事療法に関する論議A シニアフィットネス研究所/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる